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Highlighting JAPAN

変化する日本の投資環境

JETRO理事長 石毛博行氏インタビュー

日本へ投資する外国企業が次々と成功を収めている。なぜいま日本なのか、そして対日投資のメリットを日本貿易振興機構(JETRO)理事長・石毛博行氏にうかがった。

現在の日本の投資環境と、対日投資のメリットについて教えてください。

いわゆる“アベノミクス”によって、日本の経済環境は変化しました。世界で最もビジネスのしやすい国にするという明確な改革の意思を掲げて、高コスト体質を改め、多面的な規制改革が進んでいます。電力市場や医薬分野、企業統治の規制改革のみならず、TPP参加の決断で農業改革へも踏み出しました。また、日本の住居・事務所などの不動産賃料は香港やシンガポールに比較してもはるかに安い水準です。法人税率についても先進諸国の中でも低い水準へ引き下げられました。日本は十分に国際競争力を持つ低コスト国となりました。日本に投資するなら、まさに今なのです。

日本の地方の投資環境はいかがでしょうか。

日本は関東地方だけで英国と同等、関西地方だけで韓国と同等のGDP規模です。さらに英誌MONOCLEの「世界の住みやすい都市ランキング」は東京が1位、京都・福岡がそれぞれ15位以内に入るなど、経済面のみならず、治安や社会の安定性、教育・居住環境、食や文化など、日本の生活環境の良さは高く評価されています。

また、日本のノーベル賞受賞者からわかる通り、名古屋や京都など、地方の大学や企業の研究水準は非常に高い水準にあり、外国企業の技術提携先として魅力的です。米国で盛んな研究開発型ベンチャービジネスモデルでは職住学の近接が重要ですが、日本の地方の有力大学にも十分にその可能性があります。外国人観光客からは大都市や富士山だけでなく、歴史的な建物や郷土食のある地方へ注目が集まっていますが、まだ地方の観光産業は開発途中で、将来的な伸びしろが大きい。外国企業にとっても、地方はビジネス参入の機会に溢れています。

これまでの投資事例を踏まえ、有望分野と成功事例を教えてください。

観光分野では中国の上海吉祥航空や春秋航空が日本各地に就航し、中国最大のオンライン旅行会社Ctripは個人需要に応じた旅行サービスを提供しています。エネルギー分野では再生可能エネルギーのjuwi自然電力(ドイツ)や、電力使用量分析のOpower(アメリカ)も順調です。小売のIKEA(スウェーデン)は家具ブームを呼び、大変な成功例でした。ジェネリック医薬品のハンルイ医薬(中国)も、日本の市場拡大を見込んで中国医薬品企業として、初めて日本法人を設立しました。JETROはこれまで12000社の投資関心企業を支援し、そのうち1200社の投資を実現、成功へ導いており、この割合は非常に高いものと自負しています。

対日投資を検討する企業に対して、JETROではどのような支援を行っていますか。

東京都は国家戦略特区として、外国企業誘致のためのさまざまな優遇施策を行っており、JETROと同じフロアに外資系企業等の開業手続きを一元化した相談窓口を設けています。また、JETRO IBSC(対日投資・ビジネスサポートセンター)では、オフィススペースの無料提供や、会社設立手続きの相談、税理士などの専門家紹介など、外国企業の法人設立をきめ細かく支援しています。 

また、投資ポテンシャルのある企業へ私たちの側からも積極的にアプローチ、支援していきます。5言語の言語別営業チームを構成し、3000以上の企業をリストアップしました。これから海外投資のフェーズに入る新興国や、すでに日本に進出し、二次投資(拠点拡大)に関心のある企業なども視野に入れながら、54カ国73事務所を総動員し、「Talk to JETRO first」のスローガンで、外国企業の日本進出、ビジネス拡大に持続的に努力していきます。対日投資に関心を持つ企業はぜひ、私たちへご相談ください。