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キッズ・コーナー

稲むらの火(仮訳)




昔、和歌山県にある海沿いの村に男が住んでいました。男の家は、海を見下ろす高台の上に建っていました。

ある夏の夕暮れのこと、その日は村の祭りで、村の神社には祭りの準備で集まった多くの人々で賑わっていました。男もワクワクしながら、きれいな着物に着替えていたとき、突然グラグラと横揺れが起こりました。男は「長い地震の後には津波が来る」と村の長老から聞いたことを思い出し、すぐに海を見ました。

すると、海の水がものすごい勢いでどんどん沖に引き始めました。「これはたいへんだ!大きな津波が来るぞ」男は大急ぎで松明(たいまつ)に火をつけ、祭りの準備が行われている神社に走りましたが、津波が到達するまでには間に合わないと思いました。そこで、稲刈り後の田にあった稲むら(稲束を積み重ねたもの)に火をつけて気づいてもらおうと考えました。

しかし、他人の稲むらに火をつけるわけにはいきません。男は自分の田んぼの稲むらに火をつけました。稲むらは勢いよく燃え上がってモクモクと煙が上がり、祭りの準備に夢中になっていた村人たちも気が付きました。火事を消そうと駆けつけた村人たちに、男は「津波が来ているから山へ逃げろ!」と声をかけました。

男と村人たちは必死になって山を駆け上りました。全員が山へ登りきったのと同時に、大きな津波が村を飲み込みました。幸いにも村の中で誰一人死んだ者はなく、自らの大切な稲むらを犠牲にして村を守ってくれた男に、村人たちは心からお礼を言いました。

その後、男は村人と力を合わせ、村に高くて長い堤防を築きました。



稲むらの火 ゆかりの地

「稲むらの火」の物語は、1854年に発生した「安政の大地震」での大津波をもとにして作られたとされる。そのとき、命をかけて村民の命を救ったのが、和歌山県広川町で生まれた濱口梧陵である。
彼の偉業と精神、津波防災の教訓を学び受け継いでゆくため、2007年、広川町に「稲むらの火の館」が建設された。津波の恐ろしさを学び、防災に対する知識を深められる場所として、多くの人々が訪れている。

 

 



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