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Highlighting JAPAN

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日本で働く外国人

誰もが住みやすい多様性を生かしたまちづくり(仮訳)






静岡県浜松市では総人口の2.61%を外国人が占め、全国平均の1.56% を大きく上回る。同市は「多文化共生」を重要政策として位置付け、誰もが安心して快適に暮らすことができるまちづくりを目指す。

「1990年の出入国管理及び難民認定法改正施行により日系3世までの国内就労が認められるようになり、市内に数多くある輸送用機器等大手企業の工場などで働く日系ブラジル人やペルー人を中心に、市の外国人人口が一気に増えました。外国人市民が増えると地域社会で言語・生活習慣・文化の違いによる課題が顕在化してきます。市として積極的に多文化共生への取り組みをはじめたきっかけは、このような必要に迫られてのことでした」と浜松市企画調整部国際課の古橋広樹氏は話す。

現在浜松市では「多文化共生センター」と「外国人学習支援センター」という2つのセンターを運営している。前者は外国人に多言語で生活相談や情報提供をし、防災訓練や就業サポートなど、生活に役立つサービスを提供する。後者は外国人を対象とした日本語講座、外国人をサポートする日本人を対象とした外国語講座や日本語支援ボランティア育成講座など、言語を柱にした支援活動を行う。

医療や教育、福祉、交通などの幅広い情報を6言語でまとめた市のホームページ「カナル・ハママツ」、3言語で提供される「防災ホッとメール」、そして外国人転入者が日常の生活に戸惑わないよう2言語で税金の仕組みからゴミ出しの方法まで広範に網羅した書類のセット「ウェルカムパック」も、外国人市民の不安や疑問の解決におおいに役立っている。

「『多文化共生』のためには日本人と外国人が相互に歩み寄り、理解し合う必要があります。市では外国人市民が委員として諸問題や日本人市民との共生の推進等について調査審議する『外国人市民共生審議会』と、多文化共生の推進に携わる各種団体やコミュニティ代表の参画を得て多文化共生のまちづくりを進める『多文化共生推進協議会』という機関も設けています」。

リーマンショックと東日本大震災の影響もあり、2008年をピークに市の外国人人口は減少傾向にある。しかし、小中学校における外国人生徒の割合は大きくは減少していないという。これは市に居住した外国人が家族をもうけ、定住化していることの表れであると捉え、外国人の子供への教育支援にも力を注いでいる。

「居住実態調査から不就学理由の分析、ケースに応じたきめ細かな支援と追跡調査を行い、外国人の子どもの不就学を解消するとともに、将来にわたり不就学を生まない仕組みを構築するため『外国人の子どもの不就学ゼロ作戦』を2011年から取り組み、昨年9月に目標としていた不就学ゼロを達成しました。この仕組みを、『浜松モデル』として全国の自治体に発信していきます」。

多文化共生社会を実現するため、外国人市民の多い自治体が連携して国等への提言や課題解決のための取組を進める「外国人集住都市会議」も浜松市の提唱で2001年から始まったものである。また、2012年に同市がホスト役を務めた「日韓欧多文化共生都市サミット」や、国際的規模の都市・自治体連合(UCLG)への参加を通じ、多文化共生や多様性を生かしたまちづくりを国際的テーマとするなど課題を共有している。

「少子高齢化社会が進む中で、外国人市民の持つ多様な力を生かしたまちづくりによって都市の活力を維持することがますます重要になります。これまでの支援中心の施策から、積極的にまちづくりに参画してもらい多様性を生かしたまちづくりを実践することが、浜松市の目指す『多文化共生都市』の姿なのです」と古橋氏は力強く話す。



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