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Highlighting JAPAN

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明日をつくるベンチャー企業

ベンチャー企業を通じて日本経済を活性化させる(仮訳)

長谷川博和教授インタビュー



ベンチャービジネスは安倍内閣の成長戦略の第三の矢、日本再興戦略の中核に位置づけられており、独創的で革新的なベンチャーの躍進が想定されている。日本におけるベンチャーの現状や課題、そして今後の展望について、早稲田大学大学院ビジネススクール教授である長谷川博和氏にお話をうかがった。

――日本政府がベンチャー支援を成長戦略のひとつにおいているのはなせでしょうか。

日本では既存事業が成熟化したため、新陳代謝を図ることが求められています。そのため、新興のベンチャー企業だけでなく、既存の大企業・中小企業にもその役割が期待されています。既存の大企業の新分野への進出や、事業革新によって既存事業とは異なる新規事業を創造することが必要です。

ベンチャーは産業の新成長分野を開拓し、社会に雇用と技術革新を創出する、いわば経済活性化のエンジンとして大変重要な存在です。ベンチャーから次の世代の主要企業が生まれ、新たな経済成長を牽引することが、日本の明日を切り開く新しい力として期待されています。

――日本のベンチャーの特徴について教えてください。

従来のベンチャーの担い手がいわゆるサラリーマンの独立・起業だったのに加え、今は技術的素養のある高学歴な起業家が増えています。ICT(Information Communication Technology)テクノロジーの活用が盛んになり、ミニマムな投資や設備で起業が容易になったことにより、研究者、技術者をはじめとして、学生や20代の若者の起業が増加したと考えられます。また、従来だと再就職となるとパートや派遣など働き方が制約されていた女性たちが、かわりにベンチャーで起業するケースが増えています。さらには50歳以上の比較的シニア層の起業も多いです。そして、全般的な特徴としては、起業時から海外を視野に入れてビジネスプランを描いている起業家が目立つようになりました。

――国はどのような政策で支援しているのでしょうか。

起業に挑戦する人を増やすためには、起業自体を職業選択肢としてもっと浸透させ、社会の意識を変える必要があります。また、ベンチャーへの投資は長い期間をかけたリスクの大きい投資であるため、リスクマネーが不足しています。

それらを解決するため、牽引役を経済産業省として、国を挙げてのベンチャー支援が始まっています。年金基金によるベンチャー投資枠の創設や、優遇税制措置、公的セクターの経営資源といった制度改革。小中学生からの起業家教育の充実や、有識者ネットワークの起業化支援をはじめとする意識改革・サポートシステムの充実化。ベンチャーとの連携や大企業発ベンチャーの促進を含む、日本経済全体でのベンチャー創造などが一例です。ベンチャー創造の好循環の実現に向けて、ベンチャーと政府、大企業、教育機関と支援者が投資とリターンで結びついた、緊密な連携システムが構築されつつあります。

――日本のベンチャーの今後の展望をお聞かせください。

日本の強みを活かしたベンチャーの活躍が期待されます。具体的には健康・介護医療ビジネス、クリーンエネルギー、農業でのIT活用、ロボット技術などの分野です。政府の全面的な支援によって、ベンチャーという「新しい力」が経済を再生し、それが新たなベンチャー創造につながることが理想的ですね。




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