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Highlighting JAPAN

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海外で活躍する日本人

逆境からリーダーシップへ

被災者を支援する坪内南氏(仮訳)

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教育は一生涯の基盤となる。教育により貧困や病気から脱することができ、就業の機会や選択肢が増え、社会へ意見を反映させることができるようになる。

坪内南氏は、2011年6月に彼女が創設した非営利の財団法人、教育支援グローバル基金の理事・事務局長である。この財団法人は、2011年3月11日の東日本大震災によって壊滅的打撃を受けた東北地方の若者達の高等教育とリーダーシップ育成を支援することを目指している。

彼女は今まで困難に背を向けるような道を選んだことはない。「子供の頃からすでに、ただそこに何があるのかを知るために、通りの一番遠い食料品店まで買い物に行ったり、隣町の駅まで電車に乗って出掛けたりしました。好奇心が強かったのです。そこから少しずつ視点を広げて行きました。こうして中学の時に二年間海外で過ごすことになりました。」と彼女は語る。

14歳で留学のためにカナダに渡った、その体験は坪内氏が予想していたほど生易しいものではなかった。「日本を発つ前は、みんなが花を用意して私を待ってくれているものと思っていました。私が日本人だというだけで誰でも私に興味を持ってくれて、すぐに名声や富を手に入れられると思っていたのです。しかし現実に打ちのめされました。友達を作ることができませんでした。英語を話すことができず、家族が恋しくなりました」と彼女は当時を振り返る。

それでも彼女は決して日本に帰ろうとは思わず、決してあきらめなかった。坪内氏は4年にわたるカナダ生活のなかで2年間を全寮制学校で過ごした後に、日本の経済団体である経団連から全額給付の奨学金を得て、もう2年間インターナショナル・スクールで過ごした。次に東京の慶應義塾大学で総合政策学の学位を取得した後、彼女はカレッジ・ウイメンズ・アソシエーション・オブ・ジャパン (CWAJ) および日本/世界銀行共同大学院奨学金制度 (JJ/WBGSP) からの奨学金を得て、マサチューセッツ工科大学 (MIT) に留学し、都市計画学の修士号を取得した。

現在東京を拠点とする坪内氏は、難民を助ける会(AAR Japan)のカブール事務所(アフガニスタン)、世界経済フォーラム(スイス、ジュネーブ)、バーレーン経済開発委員会(バーレーン、マナマ)での勤務経験を持つ。東日本大震災が起きたのは、彼女がバーレーンで働いていた時だった。彼女は東京出身ではあるが、日本に戻り、宮城県の被災地を訪ねた。そこで凄まじい惨状を目にした彼女は、この地方の若者達を支援しようと心に決めた。

地震から3ヵ月後に設立された教育支援グローバル基金は、日本または海外で高等教育を受けたいと望む東北の学生達に奨学金を支給するビヨンドトゥモロープログラムを運営すると同時に、東北の若者達が夢を追い、明日のリーダーとなることを支援するリーダーシッププログラムを実施している。2011年9月、このプログラムは東北地方の7人の高校生と大学生を、中国の大連で開かれた世界経済フォーラムのニュー・チャンピオン年次総会に派遣した。同年10月、ビヨンドトゥモローは第一回東北未来リーダーズサミットに宮城県、岩手県、福島県から70人の高校生を招き、彼らの街を再建するための最善の方法について意見を交換した。また、日本の学生がグローバルな課題への理解を深めてから米国を訪れることができるように、東京の米国大使館と連携してTOMODACHIビヨンドトゥモロー・グローバル・リーダーシップ・アカデミーを行った。

優れたリーダーは逆境を体験することで生まれるものであり、東北地方の復興には優れたリーダーが必要だと坪内氏は信じている。様々な国際的経験を持ち、自分に対して常に学ぶことと成長することを課してきた彼女自身こそ、リーダーシップと教育の最高のお手本であるに違いない。自分の仕事のどういうところが気に入っているかとたずねると、彼女は「多くのことを学べること」だとシンプルに答えた。



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