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Highlighting JAPAN

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連載 47の物語

熊本

清らかな水の上にそびえる城壁(仮訳)



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熊本県は、日本の主なる四島の最南端である九州の中心に位置する。日本でも有数の活火山である阿蘇山を擁する熊本県には、少なくとも1412の温泉があり、豊かな森林に覆われた熊本市は、水道の蛇口から天然のミネラルウォーターを直接供給できるほどに地下水が豊富である。

熊本市の観光名所は、下町のショッピングアーケードの向こうに堂々とそびえる熊本城の高い城壁である。日本三名城の一つと言われる熊本城は、天然の河川を組み込んだ濠、登るほどに傾斜の大きくなる手ごわい武者返しの石垣などの様々な築城術を取り入れ、1601年から1607年までの7年の歳月をかけて築城された。熊本城の天守閣は1877年に原因不明の出火により焼失したが、その壮大で堅牢な石垣は、出火の3日後に鹿児島を拠点とする薩摩の反乱軍が到着した時にもまだ強く保たれていた。その後天守閣は1960年に復元されたが、焼失を免れた木造櫓群など13基の構造物は現在も当時のものがそのまま残っており、重要文化財にも指定されている。

お城から市電で南東方向に14分のところにある水前寺成趣園には熊本市唯一の日本庭園があり、水前寺公園の名で親しまれている。熊本城主であり、また伝説的剣術家、宮本武蔵の晩年の庇護者でもある細川忠利が、私有の御茶屋として1636年に築いたこの庭園は、その富士山を模した築山と、滋賀県の琵琶湖を模したといわれる透明な湧き水の池が有名である。この園内を回遊する遊歩道は、東京と京都を結ぶ歴史的街道、東海道五十三次を再現しているとも言われている。名前の由来となった水前寺は今ではもうないものの、着物姿が映える古い趣を持つこの公園内にある出水神社では、運よく結婚式を見かけることもある。

熊本市から車で一時間半ほどのところにある黒川温泉は、熊本県の北東に位置する。黒川温泉には28軒の旅館があり、それぞれ源泉の異なる露天風呂があるが、お湯の中に含まれるミネラルによって泉質にも興味深い影響がある。「水が白いところもあれば、透明なところもあり、緑色っぽいところもあります」と黒川温泉観光旅館共同組合の理事である志賀希氏は説明する。

黒川温泉の名声は江戸時代に遡るといわれる一方、地元の旅館がそれぞれに独自の入浴体験を提供しようと決めたのは1970年代後半のことである。黒川温泉観光旅館共同組合インフォメーションセンターで配布されている冊子を見せながら、志賀氏は素晴らしい景観のある温泉や、川や木々、岩石などに溶け込んだ露天風呂、広々とした温泉、更には洞窟を削って造られた混浴温泉などを楽しそうに紹介してくれた。

観光客がこの地域の温泉の多様性を最大限に堪能できるよう、観光旅館共同組合では、3軒の異なる温泉に入れるお得な「入湯手形」(杉材を輪切りにした入浴スタンプカード)を販売している。また増加する外国人観光客のために、観光旅館共同組合は、この地域で英語と韓国語のサービスを提供する多くの旅館を、ホームページ上のリストに記載するようになった。

壮大な城や心地よい庭園を訪れ、比類ない温泉、熊本で何を体験してもあなたに満足をもたらすだろう。