Home > Highlighting JAPAN > Highlighting Japan 2013年10月号 > グローバリゼーション

Highlighting JAPAN

前へ 次へ

科学と技術

モートマンが歴史をつくる (仮訳)



  • English
  • Chinese



2020年、東京。世界は日本で行われている夏の五輪を見ている。このような巨大なイベントは多くの助けを必要とするが、未来ではそれは人とは限らない!

レストランでのウエイトレス業務、アイスクリームの販売、はたまた太鼓を叩くまで、みんな安川電機の新世代ロボット、「モートマン」にお任せだ。

安川電機は世界最大の産業用ロボットメーカーである。ドイツのKUKA、スウェーデンのABB、日本のファナックとともに「ビッグ・フォー」の一角を成す。1915年創業の安川電機は当初モーターとその応用品を製造していたが、業界での100年近い歴史の中で会社はインバーター・ドライブ、サーボ・ドライブ、マシン・コントローラーの分野でグローバルトップの製造会社となっていった。

これまでに、安川電機は27万台を越える産業用ロボットを世界中に出荷し、近年ではその累計出荷台数は毎年およそ2万台ずつ増え続けている。1977年、安川電機は日本初の全電気式産業用ロボットを市場に送り込んだ。その名前が「モートマン」(モーター+ヒューマン)だった。

「モートマンは初め市場の評判はあまりよくなく私たちは不安だったのですが、1990年代に入るとモートマンは日本のオートメーション化された工場、特に自動車業界において引っ張りだこの働き手となりました」と株式会社安川電機の東京管理部長 兼広報・IRグループ長の林田歩氏は振り返る。一台数百万円の価格の割にモートマンは本当に応用力がある。その主要なスキルは溶接、塗装、組み立て、そしてハンドリングだが、今では医療やバイオメディカルといった産業においても使用されている。

モートマンの主な用途は現在でも自動車産業である。日本のほぼすべての自動車メーカーがモートマンを使っていて、ヨーロッパの主な自動車メーカーや、関連する部品メーカー各社もモートマンを多く採用してきた。

ロボット事業における海外の売上は70%を超える。また、事業全体としても売上の54%を占める海外市場は安川電機にとっては重要だ。内訳は、中国を含むアジア向けの売上が27%、アメリカ・ヨーロッパがそれぞれ17%、10%となっている。会社は28カ国に事業拠点を持ち、1万4千人近い従業員を世界中に抱える。

2015年には安川電機は会社創立100周年を迎えるが、会社はその名声にあぐらをかいてはいない。モートマンは今後のサービス業において大いに活用されるモノとしての鍵となると考えている。「社会の高齢化は世界的な問題。将来、モートマンが医療や福祉の分野、そして日々の暮らしにおいて人を助ける存在となることが、私たちの新たな挑戦です」と林田氏は語る。

この安川電機のロボットテクノロジーの新しい活用法を築く上ではロボットメーカーとロボットユーザー、そしてシステム導入者の間のもっと密接な交流が不可欠だ。安川電機は、こうしたロボット事業のビジネスパートナーとの交流を深める施設(ロボットセンタ)を現在、ドイツのミュンヘンと米国オハイオ州、日本のさいたま市、中国の上海等に設置しているが、今後も、アジアを中心にする増設する計画だ。

「日本ではロボットを先に作り、それからその使い方を考えますが、海外では先に活用方法のアイデアがあり、その問題を解決するためのロボットを作ります」と林田氏は説明する。「私たちはもっと想像力が必要。日本は高性能なロボットを作ることには長けているけれども、その使い方について創造性のあるアイデアを生み出すのはあまり得意でない。この部分は私たちがヨーロッパやアメリカから大いに学ぶことができる部分です」と彼は言う。



前へ 次へ