Home > Highlighting JAPAN > Highlighting JAPAN 2012年7月号 > JETプログラム(仮訳)

Highlighting JAPAN

前へ次へ

特集国際社会における日本のグローバル人材育成

JETプログラム(仮訳)

English

日本の国際交流事業の一つに、「語学指導等を行う外国青年招致事業」(JETプログラム)がある。政府が関与する国際交流事業としては、世界最大規模である。このプログラムを通じて、毎年、4000名を超える外国人が日本の地方公共団体や学校で活躍している。ジャパンジャーナルの澤地治が報告する。

「語学指導等を行う外国青年招致事業」(JETプログラム)は、外国語教育、草の根の国際交流の促進の目的で、地方公共団体が諸外国の若者を任用する。

 JET参加者の職種は、日本人教師の外国語授業の補助をする「外国語指導助手」(ALT)、地方公共団体で翻訳、通訳、国際交流事業を担当する「国際交流員」(CIR)、そして、スポーツを通じた国際交流活動を行う「スポーツ国際交流員」(SEA)だ。JET参加者の任期は1〜5年である。

 JETプラグラムは、1987年に開始され、現在までに60カ国から約5万6,000名の外国青年が参加している。2011年度は39カ国から約4,300名が参加し、全国約1,000の地方公共団体等に招致された。JET参加者の9割強はALTだ。英語のALTが大多数であるが、フランス語、中国語、韓国語のALTも任用されている。

 「2011年から小学校での外国語活動が必修になり、英語のALTの小学校への派遣が増えています」と自治体国際化協会(CLAIR)の鈴木憲昭氏は言う。「CIRの役割も広がっています。日本に住む外国人が増えているので、その地域に住む外国人の相談に乗る、あるいは、出身国と、招致された地方公共団体との経済交流事業に関わるCIRもいます」


グローバル化とJET

「Excuse me. I lost my watch. Could you help me find it?」

「Sure. What does it look like?」

埼玉県の所沢商業高等学校の英会話室では、ALTのブライアン・ダラーさんが大きな身振りを交えながら、1年生の生徒と英会話の練習をしている。

ダラーさんは、アメリカのセントルイス出身だ。現在、所沢商業高等学校と所沢高等学校にALTとして勤務している。JET参加者として来日したのは2008年だ。

「新しい環境で、住みたい、働きたいと考える私のような人にとってJETプログラムは非常に魅力的なプログラムだと思います」とダラーさんは言う。「JET参加者に対する支援体制が非常にしっかりしています。日本での生活や教授方法の研修、仕事や生活に関するカウンセリング、さらに、ネットワーク作りやプロとして成長する機会を得ることが出来るのです」

 ダラーさんは来日する前、英語を教えた経験はなかったが、ALTとなり多くの生徒を教えるうちに、教育の面白さに引き込まれていった。ダラーさんは、生徒と接する機会を少しでも多くしたいと考え、授業だけではなく、必ず、昼食は高校の食堂に行き、生徒とコミュニケーションをとるようにしている。

「生徒と将来の話やポップカルチャーの話をするのは楽しいですね。授業でも、授業以外でも、生徒が英語や外国の文化等に興味を持ちはじめ、私に対して、以前よりも積極的にコミュニケーションを取るようになっていると感じます。非常にやりがいのある仕事です」とダラーさんは言う。その他にも、JETプラグラムのボランティアとして、JET参加者への支援、教授方法の改善といった活動にも参加している。



テイラー・アンダーソンさんの遺志を継ぐ

2011年3月11日の東日本大震災では、JETプラグラムの参加者である二人のアメリカ人が犠牲になった。その一人、テイラー・アンダーソンさんは、宮城県石巻市でALTとして、小中学校に勤務していた。彼女の死後、彼女の母校であるバージニア州のセント・キャサリン高等学校は「テイラー・アンダーソン追悼基金」を設立し、被災地の支援活動を支援している。また、アンダーソンさんのご遺族と東京アメリカンクラブは、アンダーソンさんが教えていた7つの学校に、「テイラー文庫」を寄贈した。2012年4月、訪米した野田佳彦総理は、アンダーソンさんのご両親に面会、深く哀悼の意と感謝を表した。

前へ次へ