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Highlighting JAPAN

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特集日本の食

日本の農産物の輸出(仮訳)

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日本食の世界的な広がりとともに、日本の農林水産物・食品の海外への輸出も広がっている。その輸出の現状について、農林水産省の小島吉量輸出促進グループ長にジャパンジャーナルの澤地治が話を聞いた。

──日本の農林水産物・食品の海外への輸出の現状をお教え下さい。

小島吉量氏:2008年のリーマン・ショック、2011年の東日本大震災の影響で、輸出が減少しましたが、近年の大きな傾向を見ると、着実に輸出は増加しています。2011年の輸出額は約4500億円ですが、政府はこれを2020年までに、約1兆円にする目標を立てています。

現在、輸出先で多いのは、米国を除けば、香港、台湾、中国、韓国といった近隣のアジアの国々です。この理由としては、地域的、文化的にも日本に近く、船や飛行機による物流も太いということが挙げられます。また、経済成長による生活水準の向上にともない、日本食を食べる人が多くなったことも要因の一つと言えます。

──どのような日本の農林水産物・食品が輸出されているのでしょうか。

輸出品のうち、水産物、水産加工品が約4割を占めています。例えば、サケやマスは中国やベトナムに輸出され、加工品の原料となります。また、香港にはなまこ等が高級食材として輸出されています。

最近、輸出が伸びているのが、米です。これは、アジアをはじめ各国で日本食の普及が進んでいることなどが要因と考えています。牛肉や日本酒も輸出が増加しています。

──日本の農林水産物・食品に対して、海外の方々はどのような印象を持っているのでしょうか。

世界中で、日本の食品はヘルシーで美味しいという印象は定着していると思います。本年3月2日から3日間にわたって、香港の国際展示場で、日本の農林水産省の主催で「日本食品展イン香港」を開催しました。香港市民やバイヤーの方々など、約18000名の皆様に来場いただきました。日本からは日本酒、水産物、ジュース、牛肉などの商品を扱う41業者が参加し、約360件の商談が行われました。香港の方々が、日本の食品に対して、非常に高い関心を持っていることを実感しました。実際、一般の方々は会場では、日本酒、牛肉などの試食・試飲を楽しむ姿が見られました。

──東日本大震災後、政府は農林水産物・食品の安全性を確保するために、どのような対策を行っているのでしょうか。

日本で生産される農林水産物に対してモニタリングプログラムを実施し、規制値を超える放射性物質が検出された場合は、必要に応じ出荷の制限が行われています。また、より一層の食品の安全と安心を確保する観点から、4月以降食品に対する新しい基準値が適用されることとなっています。

このように国内では安全な農林水産物・食品しか出回らない体制を整えています。それに加え、輸出品に関しては、輸出先国・地域と協議した上で、安全を証明した書類の発行、輸出先国・地域での検査が行われています。日本国内、そして輸出先国・地域と二重の対策を行っていますので、海外の方にも日本の食品を安心して召し上がっていただけると思います。

──日本の農作物の質について、どのようにお考えでしょうか。

国際的に見ても、日本の農産物の質は非常に高いと思います。その大きな理由の一つは、農家の方が非常に手間をかけて作っていることです。例えば、リンゴです。日本のリンゴは他の国のリンゴより大きく、甘いです。そのようなリンゴに育てる重要な作業の一つが、不要な果実を摘み取る「摘果」です。リンゴは、一つの花芽から数個のリンゴが実を付けますが、栄養分の分散を避けるために、その中から一つを選び、育てるのです。その作業は非常に細かく、時間がかかります。しかし、それにより、美味しいリンゴが実るのです。

──今後、日本の農林水産物・食品のどのような特徴を海外の方々に知ってもらいたいと考えているでしょうか。

例えば、日本の食材が持つ季節感です。日本人は旬のものを食べるという伝統を大切にしてきました。食べ物によって季節を感じるのです。例えば、春や秋のカツオ、春のタケノコ、夏の桃などです。

また、日本食においては発酵食品・調味料が非常に重要な役割を果たしていることです。味噌、醤油といった発酵調味料が、日本料理にうまみを添えるのです。

今年も、農林水産省では、日本の農林水産物・食品が持つ魅力を、日本食文化と併せて発信する「日本の食文化祭典」を海外で開催する予定です。こうした場で、海外の皆様にも、是非、日本の農林水産物・食品に直接、触れて頂きたいです。

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