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Highlighting JAPAN

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特集震災復興

消費が被災地を応援(仮訳)

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首都圏に住む消費者たちは、3月11日の地震と津波で被害を受けた企業たちを支援しようと動き始めている。

福島県八重洲観光交流館

東京都心には、県や市などの自治体が、地元の物産の販売や観光をPRするために設けているアンテナショップが数多くある。東京駅の間近にある福島県八重洲観光交流館は福島県の物産を専門に扱う店だ。酒、ハチミツ、味噌、民芸品など、福島県産の様々な商品が300品目以上並ぶ。

福島県は、地震の揺れ、津波により、大きな被害を受け、現在も原子力発電所の事故の影響で県の一部が避難区域に設定されている他、一部の地域で生産された食品は出荷制限の対象となっている。

震災以降この交流館は地元の商品を買うことで福島県を支援しようとする人々で、連日賑わっている。通常、交流館で青果物は販売していないが、4月2日と3日には、出荷制限対象ではない地域で生産され、かつ放射能モニタリング調査で規制値を下回っている福島県産のイチゴ、アスパラ、キュウリなどの青果物の販売が行われた。当日は、販売開始の午前10時前に買い物客の長い行列が出来、およそ15分で全品が完売した。

平日は震災前の3倍にあたる約1200名以上が来店、さらに週末には1500名以上が来店し、入店規制しなければならないほどだ。震災の翌日から募金箱をレジに置いたところ、4月末までに約1000万円が集まった。来店する人の半分は、福島と直接関係のない人という。また、4月21日には、ジョン・ルース駐日米大使も交流館を訪れ、酒を購入している。

「出店料を無料にするから、コンサートやお祭会場で福島県の物産を販売して欲しいという依頼も数多く頂いています」交流館の館長、富田潤也氏は言う。

交流館では、福島県内で発行されている新聞を読むことも出来る。また、東京から福島県への交通アクセス、避難所の場所など様々な情報も店内に掲示しており、東京と福島とをつなぐ拠点の役割も果たしている。

「幸い、実家は震災の被害を受けませんでしたし、母から『もう落ち着いてきたよ』と言われています」来店した、東京で暮らす福島県出身の20代女性は言う。「このお店で福島のお酒を買って、九州の友人に送ります。そうして、少しでも福島のことを考えてもらえればと思っています」

また、福島から千葉県へ3年前に引っ越してきた60代の女性は「募金もしていますが、この店で商品を買うことで、少しでも福島の役に立てればと思いました。たくさんの人が店に来ていて、とても嬉しいです」と話した。

新宿タカシマヤ

東京都心にある新宿タカシマヤは、週末には1日約10万人の買い物客が訪れる大型デパートだ。4月20日から25日までの間、館内催事場で、東日本大震災で沿岸部中心に大きな被害のあった宮城県の菓子、肉、漬け物など120品目を超える商品を販売するフェアが開催された。

「大きな被害のあった宮城県のために、我々も何かしたいと考えました。そこで生産者達に声をかけて、新宿タカシマヤで宮城フェアを実施し、地元の魅力的な商品を販売しようということになったのです」と新宿タカシマヤの佐藤智行氏は言う。3月下旬に開催が決定したものの、宮城県では余震の影響により、物流や電力が不安定であったため、フェアに参加を決めた出店者が商品を十分に生産できるか、またそれを東京に運べるかがはっきりせず、関係者は開催直前まで気を抜けなかったという。しかし、予定通りに様々な商品が揃い、フェア開催がテレビや新聞で数多く取り上げられたこともあり、連日数多くの買い物客で賑わった。

「生産者とお客様との心をつなげるという小売業者としての商売の原点を、あらためて感じました」と佐藤氏は言う。このフェアで人気の高かった商品の一つが、仙台の菓子メーカー菓匠三全が製造する「萩の月」だ。萩の月は、ふんわりとしたスポンジケーキに、カスタードクリームを包んだ、宮城を代表する菓子だ。震災直後は、工場の製造機械が倒れ、電気、水道も止まったため、菓子の生産を一時中止、直営の店舗も閉鎖せざるを得なかった。しかし、震災で疲れた人たちに、甘いお菓子を提供したいと、震災から二日目には開店が可能な店舗で在庫の販売を開始した。

現在では、生産量も販売店舗数も震災前の状態にほぼ回復している。新宿タカシマヤのフェアでも、萩の月を買い求める人が次々と訪れた。

「多くのお客様から『頑張ってね』とか、『萩の月がここで買えて嬉しい』とおっしゃって頂きました」新宿タカシマヤでのフェアに参加した菓匠三全の二瓶久美子さんは言う。「宮城に戻ったら、当店の工場の人たちにも、そうした声を伝えます」

東京ディズニーランド

3月11日の震災以降休園していた東京ディズニーランドは、4月15日に営業を再開した。当日、午前8時のオープンを待つ人は、前日の夜から並んだ人を含め、約1万人にも達した。また、4月23日からは、震災以前と同じように、運営時間が22時までになり、人気の「エレクトリカルパレード・ドリームライツ」も24日から再開、多くの入園者が光り輝く夜のパレードを楽しんでいる。

再開にあたって、東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドは「当社では、少しでも多くのゲストの皆さまに夢ややすらぎを提供できるよう、また、ゲストの皆さまのご期待に少しでもお応えできるよう最大限の企業努力を続けてまいります」との声明を発表した。

なお、ディズニーランドに隣接するディズニーシーも4月28日から営業を再開している。

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