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Highlighting JAPAN

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特集震災復興

パンダがやってきた(仮訳)

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「可愛い!」

子どもからも大人からも、歓声が上がる。皆の見つめる先では、座り込んだジャイアント・パンダが手に持った笹をむしゃむしゃと食べている。4月の末、平日にもかかわらず、東京都台東区にある上野動物園のパンダ舎の前は、たくさんの人で賑わっていた。

東日本大震災にともなう、電力不足、交通機関の乱れ、余震などの理由により休園していた上野動物園は4月1日から再開し、中国四川省の保護センターから2月に来園していた、5歳のオスの「リーリー」と5歳のメスの「シンシン」の2頭のつがいも初めて一般公開された。

上野動物園でジャイアント・パンダが公開されたのは、2008年4月にオスの「リンリン」が死亡して以来となる。

東日本大震災の発生時は、東京でも大きな揺れがあったため、2頭のパンダも驚いて、しばらくパンダ舎の屋内部屋の中で、落ち着きなく走り回っていた。しかし、パンダに同行して来日していた二人の中国人飼育員が「四川大地震はもっと激しかった。だからパンダも大丈夫」と言って、不安がる日本人飼育員を励ましたという。偶然にも、2頭のこのパンダも飼育員も2008年5月の四川大地震を経験していたのだ。

飼育員の言葉通り、しばらくすると2頭は余震に驚くこともなく、落ち着いて笹を食べるようになったという。

この日静岡県浜松市から夫、娘、母と来園した30代の女性は「パンダはまるでぬいぐるみみたいで可愛いですね。震災のニュースが続き、気持ちが落ち込んでいましたが、パンダを見て良い気分転換になりました」と笑顔で話した。

二度の震災を経験したパンダたちのおっとりした愛らしい姿は、震災から復興しようとする日本の人々の心を元気づけている。

上野動物園では、東日本大震災の義援金募金活動も行っている。義援金は、被災地支援と、被災地で被害を受けた動物園や水族館の支援のために使われる予定だ。

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