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Highlighting JAPAN

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ツーリズム

クラフトツーリズム(仮訳)

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日本各地で、陶磁器、硝子細工、木工など、地元の天然資源を活かした様々な伝統工芸品が作られている。そうした伝統工芸品の製造地域には、観光客でも気軽に作品作りを体験できる工房が数多くある。人気の高い体験工房を訪れた。

益子焼

東京から車で北へ二時間ほど、栃木県益子町は、益子焼で国内外に有名な陶芸の町だ。町の中心には、益子焼の窯元や陶器販売店やずらりと並び、買い物や作陶に訪れた観光客で賑わっている。

江戸時代末期に作り始められた益子焼は、当初、水瓶、土瓶、鉢といった人々の日常生活で使われる器として作られていた。しかし、日本を代表する著名な陶芸家である濱田庄司(1894-1978)が益子に移住し、陶器作りを始めたことをきっかけに、芸術性が認められ、国内だけではなく海外でも広く知られるようになった。そうした影響もあり、現在、アメリカ人やオーストラリア人など約30名の外国人陶芸家が益子に在住している。

「益子の魅力は、どんな人であっても受け入れる、その自由な土地柄です」益子に400以上ある窯元の一つ、益子陶芸倶楽部のオーナー古木良一氏は言う。「様々な人が集まったことで、多様な作風の益子焼が生まれているのです」

益子焼は、完成までのすべての工程に約1ヶ月を要する。まず粘土から「ろくろ」という道具を使い、器の形を作る。これを乾燥させた後、窯で焼き、釉薬(灰、石灰石、鉄などを水と混ぜて作る薬品)を表面に塗る。その後、もう一度窯で焼いて完成だ。益子には、この一連の作業を観光客が体験できる工房が多く存在する。宿泊施設もある益子陶芸倶楽部では、滞在しながら、じっくりと作陶する人もいるという。もちろん、ろくろによる作陶のみができる半日だけのコースもあるので、初心者でも気軽に訪れることが出来る。追加料金を支払えば、作った器を、後日焼いて完成させ、送付してもらうことも可能だ。

「土を触るのは非常に気持ちが良いです。ろくろを前にすると心が落ち着き、癒されました。また是非やりたい」東京から訪れ、初めて作陶を体験した30代の女性は感想をこう述べた。

最近では、アメリカ、フランス、中国など海外から作陶に訪れる人も多く、昨年、益子陶芸倶楽部で作陶をした約1230名のうち、外国人は約260名に上るという。

江戸切子

江戸切子は、19世紀に江戸の硝子問屋・加賀屋久兵衛が、ガラスの表面に彫刻を施したことがその始まりとされている。ガラスのコップや皿に円盤状の刃を当てて繊細な模様を削り出すという基本的な製法は、機械の自動化、小型化や素材の研究が進んだいまでも変わっていない。熟練した職人の手で一つ一つ作られるため、全く同じ柄のものはないという。

現在でも江戸切子の生産が盛んな墨田区の工房「すみだ江戸切子館」では、ガラスを削る工程を体験できる。色ガラスの上に白いペンで模様を描いてから削り出し用のダイヤモンドホイールで削っていく。しかし参加者は、思い描いた場所に刃を合わせるのにも苦労している様子。それでも約1時間半の時間内で、コップに星の絵柄を削り出すことができた。会社員の女性は「最初は難しいと思ったけど、楽しくて、ものも言わずに集中して作ってしまいました」と笑顔を見せていた。

この日、指導にあたった吉川英一さんは「一人前の職人になるまで10年かかると言われています。うまく出来なくても楽しんでもらって、江戸切子に関心を持ってもらいたいと思います」と話していた。最近では外国人の参加者も増え、大胆なデザインに挑戦する人が多くなってきている。

「すみだ江戸切子館」は、来年オープンする東京スカイツリーのおひざ元で、スカイツリーをモチーフにした製品なども開発・販売している。

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