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日本人のノーベル賞受賞(仮訳)

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2010年のノーベル化学賞に、アメリカのパデュー大学の根岸英一特別教授と北海道大学の鈴木章名誉教授の二人が、アメリカのデラウウェア大学のリチャード・ヘック名誉教授とともに受賞した。化学賞受賞理由は「有機合成におけるパラジム触媒を用いたクロスカップリング」だ。

クロスカップリングとは、二つの異なる有機化合物(炭素を含む化合物)を、触媒を使って結合させて、別の有機化合物を作る化学反応である。

これまで、化学反応を使ってプラスチックや合成繊維など様々な有機化合物が人工的に作られてきた。しかし、ただ単に有機化合物同士を混ぜ合わせても、結合は起こらない。なぜなら、有機化合物を構成する炭素原子は、他の炭素原子とは簡単に結合しない性質を持っているからだ。

世界中の化学者が、より簡単に効率よく異なる有機化合物同士を結びつける方法を研究する中、1972年に、ヘック氏がパラジウムという金属を触媒として使った合成方法に成功した。そして、1977年に根岸氏が、パラジウムに加えて有機亜鉛を使い、さらに効率的に有機化合物を合成、そして1979年には鈴木氏が、パラジウムに有機亜鉛よりも安全で扱いやすいホウ酸を加えるという合成方法を開発した。

こうした合成方法の開発により、複雑な構造を持った有機化合物同士を目的通りに結合させ、高機能の有機化合物を作ることが出来るようになったのだ。現在、クロスカップリングは様々な分野の商品の製造に使われている。例えば、パソコンやテレビ画面に使われる液晶の材料、抗菌剤、農薬、世界で2200万人が使う血圧降下剤などが挙げられる。

2010年12月10日に、スウェーデンのストックホルムで授賞式が行われた。

授賞式の後に行われた晩餐会では、化学賞受賞の三人を代表して、根岸氏がスピーチをおこなった。スピーチで根岸氏は、「ノーベル賞を受賞することは、これまで、探求、調査、実験についやしてきた人生、つまり、成功という山を登るために、苦悩という谷を通り抜けてきたことへの究極の評価と言えます」と述べた。さらに「有機合成におけるパラジム触媒を用いたクロスカップリングに関する我々の研究は、何年にもわたって行われてきたものであり、これからも続くでしょう。しかし、本当の成果はまだ実現しているとは言えません。他の研究者が我々の学んだこと使い、我々が発見したことを基礎とし、そして、それを、我々が今は想像するしかできない方法で、人々や技術を助けるために使うようになるでしょう」と語った。

今回の二人の受賞により、日本人のノーベル賞受賞者は、一人の米国籍を含め、計18名となった。

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