正しく知ろう! ギャンブル依存症

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ラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子「日曜まなびより」」

今回のテーマは、「正しく知ろう!ギャンブル依存症」。
ギャンブル依存症と聞くと、あなたはどんなイメージを持ちますか?意思が弱い、だらしない性格、親の育て方が悪い…。そのイメージは、本当に正しいでしょうか?実は、ギャンブル依存症はアルコール依存症や薬物依存症と同じ精神疾患の一つでギャンブルをする人なら誰でもなりうる「脳の病気」です。だからこそ、ギャンブル依存症について正しい知識を得て、適切に対応していくことが大切です。
番組では、ギャンブル依存症の原因や症状を詳しくご紹介するほか、「精神保健福祉センターや保健所などの専門行政機関への相談、医療機関の受診」や「自助グループや回復支援施設への参加」など、適切なサポートによって回復したかたの実際の体験談を交えながら、当事者や、家族を始めとする周囲のかたがどのように対応すればよいのか、学んでいきます。

杉浦太陽さん、村上佳菜子さん、内閣官房ゲストの3人が、「ギャンブル等依存症問題啓発週間」のポスターを紹介。
ゲスト

内閣官房 ギャンブル等依存症対策推進本部事務局
名達 彩恵

ストリーミング(音声で聴く)

放送日
令和6年(2024年)7月21日
再生時間
18分39秒
配信終了予定日
令和7年(2025年)7月20日

文字で読む

杉浦
今日のテーマは「正しく知ろう! ギャンブル依存症」です。「ギャンブル依存症」、ちょっと前に、大きく話題になったので気になっているかたも多いと思います。佳菜子ちゃんは、ギャンブル依存症というと、どんなイメージがある?
村上
やっぱり、ドキドキ、ハラハラが好きな人がやっているイメージがありますけどね。
杉浦
賭け事が好きだったりとか、意志が弱い人なのかもとか、いろいろイメージありますけども、実は、ギャンブル依存症はアルコール依存症とか薬物依存症と同じような「脳の病気」なんだって。精神疾患の一つ。
村上
そうなんですね。初めて知りました。
杉浦
でも、世間では「ギャンブル依存症」になるのは、「だらしない性格だから」とか、「親の育て方が悪いから」とか、誤解や偏見が根強くあって、「本人」も「家族」も、誰にも相談できずに、問題が深刻になってしまうことが少なくないんだって。
村上
自分や家族、周りの人が、ギャンブル依存症かもって心配になったらどうすればいいんですか?
杉浦
そこ知りたいよね。そこで今日は、「ギャンブル依存症」について学んでいこうと思います。講師は、内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局の名達 彩恵さんです。
村上
名達さん、まずは「ギャンブル依存症」について改めて教えてください。
名達
ギャンブルとは、金銭などを賭けて、より価値あるものを手に入れる行為を指します。日本では競馬や競輪、モーターボート競走、いわゆる競艇、ボートレースですね。それからオートレースといった四つの公営ギャンブルがあります。また、パチンコとかパチスロなどもあります。多くのかたはこれらを適度に楽しんでいますが、中には、本人や家族の日常生活・社会生活に支障が生じるにもかかわらず、ギャンブルをしたいという衝動が抑えられないかたがいます。そうした病態のことを「ギャンブル依存症」と言います。
杉浦
ギャンブル依存症のかたに見られる特徴的な症状は、「ギャンブルで勝ったときの興奮を追い求めて、賭け金の額がどんどん増えてしまう」、「負けが続いていても最終的には勝てると確信していて、ギャンブルで負けたお金をギャンブルで取り戻そうとして、またギャンブルをする」、「負けた時のことはよく覚えていないのに、勝った時のことはよく覚えている」、「ギャンブルにはまっていることを隠すために嘘をつく」、「ギャンブルを途中で中断したり、中止したりすると落ち着かなくなったり、イライラしてしまう」などが挙げられるそうです。
名達
こうした症状があるために、貯金を使い果たしてしまったり、友達や家族に借金をしたり、ギャンブルをするために嘘をついてしまったりします。また、時に借金が膨らんで盗みや詐欺など犯罪行為を犯してしまうことや、その結果、失業、貧困、さらには自殺など、深刻な問題を引き起こすことがあるんです。
村上
なぜ、ギャンブルをしたい衝動が抑えられなくなるんでしょうか?
名達
あくまで仮説ですが、いくつかの仕組みがあると言われています。一つは、アルコール依存症や薬物依存症と同じように脳内の報酬系という部位に機能的、構造的な変化が起こるからと考えられています。簡単に説明すると、ギャンブルに勝って気持ちが良くなると、脳の中でドーパミンという物質が分泌されて、体が快いと感じる刺激を得るわけですが、こうした刺激が繰り返されると、やがて脳が刺激に慣れてしまい、より強い刺激を求めるようになります。
杉浦
脳が「もっと刺激が欲しい」って指令を出すんですよね。
名達
はい。また、脳の理性をつかさどる部分の働きも悪くなると言われています。このような変化が脳に起こると、自分がどんなに「やめよう」と思っても、自分の意思でやめることができなくなってしまうんです。
村上
怖いですね。他にはどんな原因が考えられるんでしょうか?
名達
もう一つは、ギャンブルを行っていると、不快な気持ちだったり苦しさを紛らわせることができるため、「不快な感情や気分を変える」ためにギャンブルを続けてしまうとも言われています。これも「苦しさからすぐに解放されたい」と脳が意思にかかわらず指令を出してしまうからなんです。
村上
自分の意思でどうにもならないのなら、やっぱり病気ですよね。ちなみに、ギャンブル依存症のかたは、今、どれくらいいるんですか?
名達
2020年の調査によれば、「ギャンブル等依存」が疑われる人は、成人人口の2.2パーセントです。専門医療機関における新規受診患者数は20代から40代のかたが大半で、30代が最も多くなっています。
村上
えー!30代というと、私と同世代か少し上っていうことですよね。思っていたよりも若いですね!なりやすいかたって、特徴あるんですか?
名達
そうですね。ギャンブル依存症はギャンブルをする人なら誰でもなり得ますけれども、若い人、男性、ストレスへの対処がうまくない人、ギャンブルが身近にある環境などがなりやすい要因として指摘されています。
杉浦
今は、公営のギャンブルも、わざわざ売場に行かなくても、スマホでサクサクッと買えちゃうでしょ。それに、パチンコやパチスロもあるし、若い人にとっても身近なんじゃないかな。
村上
じゃあ是非、若い人にも「ギャンブル依存症」について正しい知識を知ってもらいたいですね。
杉浦
そうだよね。
村上
名達さん、ギャンブル依存症は治すことはできるんでしょうか?
名達
一旦脳内に変化が起こると、以前の状態に戻すことは難しいと言われていますけれども、ギャンブル依存症は適切な支援を受ければ、回復することができると言われています。
村上
具体的にはどのようにすればいいんでしょうか?
名達
お近くの精神保健福祉センター、保健所といった専門行政機関に相談する、あるいは専門の医療機関を受診するなど、専門家から適切なアドバイスを得ながら回復に向かう方法があります。また、依存症の問題を抱えた人やそのご家族同士でミーティングとか情報交換を行いながら、回復を目指していく自助グループに参加するという方法や回復支援施設を利用する方法もあります。精神保健福祉センターや保健所に相談すれば、自助グループや回復支援施設についても教えてもらうことができます。
村上
じゃあ、困ったり心配なことがあったら、まずは相談に行けばいいんですね。
杉浦
でも実は、依存症の当事者は自分が依存症だと認めることが難しいんですよね。
名達
はい。依存症は病状や状態を正確に自覚するのが難しいと言われています。明らかに問題がある状態であっても、本人は「やめようとすればやめられる」、「あの人に比べたら大丈夫」、「借金さえ解決すれば問題はない」などと問題について上手に考えることができなくなってしまい、自分自身ではその問題に向き合えないというケースが少なくありません。本人が問題解決の必要性は自覚していても、その決断に時間がかかることも多いため、まずは、周囲のかたが専門の機関に相談して、適切なサポートの仕方を知ることから始めるケースも多いです。
杉浦
佳菜子ちゃん、ここに、20代でギャンブル依存症になってしまったかたの体験談がございます。ちょっと読んでみますね。
杉浦
高校生の頃はサッカー部に所属してサッカーに夢中でした。3年生の夏に大会で負けてしまい、卒業まで自由な時間ができたとき、友人に誘われて競艇を始めました。就職し22歳頃までは給料の範囲で楽しんでいたけれど、徐々に負けが込むようになって消費者金融で借金をするようになりました。23歳の頃からはスマホで競艇をしました。仕事の合間にできるし、知り合いにばれずにできるのが魅力で、のめり込みました。26歳の頃からは楽しむ目的ではなく、借金を返さなくてはならないという気持ちでした。多くの友人に嘘をついて借金をし、友人を失いました。両親にも借金がばれて「もうやらない。」と謝ったり、借金を肩代わりしてもらったこともあります。それでもやめられず、親の物を勝手に質屋に入れて資金を得ることもありました。
村上
きっかけは、遊びに行く程度の感じですよね。
杉浦
友達と一緒に「ノリで行こうか!」から、「もう引き返せない」みたいな。借金を返すためにギャンブルを続けたっていう。
村上
最初に話していたように、「繰り返しちゃう」とか、「スマホでできちゃう」とか、そういうのが全て入っていた文章でしたね。エスカレートしてますね。
杉浦
体験談だからねー。まだあります。両親の勧めで病院や自助グループに参加し、医師から「ギャンブル依存症だ」と言われたことがありました。でも「借金さえ返済できれば自分には問題はない」と考えていました。29歳の時、借金問題がどうしようもなくなり、母親と相談して回復支援施設に入所することになりました。それでも、本気で競艇をやめようとは思えなかったです。でも、自助グループに参加してから、自分と同じ境遇の人と話を聞いたり、自分のことを素直に話すことができて、回復支援施設でできた仲間を大切にしたいという思いが強まり、だんだんとギャンブルをやめようと決意するようになりました。
村上
気持ちの変化が生まれていますね。
杉浦
仲間がいると、自分一人じゃないとか、境遇を分かり合える。仲間って大事だね。
村上
その後、このかたはどうされているんでしょうか?
杉浦
新たな生活を始めようと就職活動をしたときには、自分がギャンブル依存症であったことをしっかり相手企業に伝えるようにしました。現在は、理解いただいた企業の元で働いています。これからも過去の経験を大切にして堂々と生きていきたいと思っています。ということです。どう思う?
村上
やっぱり、隠そうとするということが、一番良くないのかなと思いました。
杉浦
後ろめたいと分かっているんだけど、言えないみたいなね。
村上
でもやっぱり、家族や仲間に相談することで、同じ境遇の人と話をして、気持ちが変わっていっているわけじゃないですか。周りの人のサポートも、必要なのかなと思いました。
杉浦
そうだよね。名達さん、ギャンブル依存症に悩んでいる人が周りにいたらどんな風に接したらいいですか?
名達
家族を始め、周りの人は依存症の当事者に対して、やめられないことを責めてしまったり、約束を破ったことを怒って当事者を追い詰めてしまいがちです。すると、当事者は、そのストレスから、またギャンブルに頼ることが多くなってしまうと言われているんです。
杉浦
借金を肩代わりする、本人の代わりに会社へ休みの連絡をするなどと、本人が起こした問題を肩代わりするのも大半が逆効果なんですよね。
名達
そうですね。周囲が手助けをすると、本人は自分の問題の本質に直面することに時間がかかり、ギャンブルをやめる決断をすることにますます時間がかかることもまれではありません。そのため、ギャンブル依存症の当事者が回復するためには、まず、専門の相談機関につながって、当事者も家族を始めとした周囲の人もギャンブル依存症について正しい知識を得て、対応していくことが大切なんです。
村上
まずは、「正しく知る!」なんですね。
杉浦
一人で悩まず、家族だけで悩まず、まず!相談機関へ!ですね。
名達
はい。私たちも、今悩んでいるかたが少しでも早く相談機関へつながることができればと思っています。ギャンブル依存症に関するお近くの相談窓口は、「依存症対策全国センター 相談窓口」で検索すれば見つけられます。ギャンブルが「やめられない」、「止められない」、「苦しい」というかた、または「ギャンブル依存症かも」というご家族がいらっしゃるかたはまず、相談機関へ、一歩を踏み出してみてください。また、内閣官房でもギャンブル等依存症の体験談動画を作成しておりますので、是非「ギャンブル等依存症 体験談」で検索してみてください。
村上
今日の話の中で特に注目したのは、やっぱり「正しく知る!」です。ギャンブル依存症を正しく知らないといけないなと、しっかりと学びました。
杉浦
そうだよね。そして、正しく知った上で、これも知って欲しいです!「「ギャンブル依存症」は回復できます!」。自覚して、自分と向き合うことがやっぱり大事だからね。

こどもの事故防止週間(CM)

7月15日から21日は、「こどもの事故防止週間」です。

こども家庭庁では、関係省庁と連携して、
こどもを事故から守る取組を行っています。

令和6年度の事故防止週間では、
「みんなで見守り、こどもの熱中症を防ぎましょう!」をスローガンに
広報啓発活動に集中的に取り組みます。

こどもの熱中症に関する様々な情報を取りまとめたウェブページを
開設しているほか、SNSでも熱中症予防に関する注意ポイントや情報を
発信します。
こどもの熱中症による事故への安全対策に関心を高め、
事故防止につなげていただきたく、ぜひご活用ください。

詳しくは、こども家庭庁のホームぺージでご確認ください。

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